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本屋で買おう

出版流通と言いますと、昔からやれ再販制度がどうの取次主導の流通形態がどうのとアレコレ言われているわけでして、問題が山積みなのは確かです。
近年はamazonや電子書籍などの台頭がありますから、さすがにそろそろ抜本的な改革がないとマズイんじゃなかろうかと、その問題点や改善案に思索を巡らせたりもするのですが、自分でも思いつくようなコトを業界のお偉いさん方が何十年もやらないでいるからには、怠慢だとか既得権益などだけでは済まない何らかのやっかいな理由があるんでしょうし、自分の根回し程度で業界が変わるとも思えませんので、まあどうしたものかと思うわけです。

まず書店での販売は基本的に委託のカタチをとっているので、書店は売れなければ出版社に返本することができます。
この制度が書店や取次の販売努力を怠らせていると問題視する人も多いですが、もしこの制度がなくなると書店は確実に売れる本しか置かなくなり、現在のような多様性が失われてしまうという問題点を指摘する声もあります。
メジャータイトルしか買わないという人でしたらそれでもいいかもしれませんが、多様性という裾野の広さは文化を支える重要な基盤ですし、誰しも自分だけの嗜好があり、それぞれに求める本も違いますから、委託販売であることを否定する場合は多様性の損失を防ぐ解決方法を見つけなければなりません。

仮に、とある書籍が全国の書店に1冊ずつ納品されたとしても、その書籍を求める人が各書店に1人ずついるとは限りませんから、需要のなかった地域の書店からは当然のように返本され、その合計はかなりの数にのぼりますが、またその一方で別の地域では欲しくても買えない人がいるのです。
しかし、あまりに返本数が多い場合、それらは求める人に行き渡ることなく断裁されて絶版になり、連載作品であれば打ち切りの直接的な理由にもなってしまいますから深刻です。

amazonの登場によってより広く迅速に流通することが出来るようになりましたが、そのおかげで「amazonでは完売するも、市中在庫は浮いている」という状況が生まれやすくもなっていて、amazonの完売と同時に売れゆきがパタリと止まってしまう現象が近年非常に問題視されているのです。

そうなると、「だったらamazonにもっと卸せばいいじゃないか」とか「売れそうもない小さな書店になんか卸さなきゃいい」という極論も出てくるわけですが、そんな単純な話ではないようですし、なによりも多様な本と出会える書店という場所の文化を衰退させたくはありませんので、amazon優先とはいきません。
そして、最初に言ったとおり、現状の流通システムに問題が山積みで、書店や取次による抜本的な改革が必要なことには間違いありませんが、それを叫んだところで事が改善するわけではありませんので、いち作家であり一人の読者でもある自分に何が出来るかを考えるようになりました。

そこで考えられるのはやはり、「amazonは最終手段」ということで、できるだけ書店で買ってもらえるようにするということでした。
このサイトでもリンク先にはネット上での取り回しの良いメジャーサービスということでamazonのURLを用いることが多いのですが、承前の事情もありますので、できるかぎり地元の書店で買っていただきたいと思います。
しかし、そんな出来るだけ書店で買ってもらいたいようなマイナータイトルほど小さな書店には置かれにくいというジレンマもあります。

そう考えて行き着いた改善策は「書店予約」でした。
玩具等では当たり前のように活用されている店頭予約が、何故か書籍においてはあまり浸透していいなかったということが盲点だったのです。
玩具のチラシやパンフレットには店頭予約用の注文伝票が添えてあることが多いのですが、書籍では一部の専門書を除いてまず見かけません。
ことマイナータイトルの本だったりしますと、書店で注文するのが恥ずかしいなどの理由があって伝票でもないと注文しづらいというのが一般的な心理だと思いますから、まず注文伝票が必要です。

そこで思いついたのが、作家が(できれば出版社も)自らネット上で自著を宣伝するときには、家庭用のプリンターで印刷できる注文伝票を提供したらどうだろうかというアイデアです。
そして、もしそれがなくても自分で欲しい本の伝票が簡単に作れるようなテンプレートがあったらどうだろう?というアイデアに発展しました。

ということで、テンプレートをPDFとエクセルで用意いたしましたので、ご賛同いただけるようでしたら是非ご活用いただきたいと思います。

書店注文伝票テンプレート

ダウンロード:PDF版エクセル版